02 東京 2017 11月
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#ConnectedInkTokyo

イベントについて

11月2日、第8回目(東京では2回目)となるコネクティドインクのイベントが、汐留にて開催され、約200人の関係者が集いました。今回も、ワコムとパートナー各社のVIPたちのスピーチが行われ、2018年4月に代表取締役社長兼CEOに就任予定の井出信孝の挨拶から始まりました。

◆井出信孝 ワコム取締役EVP
テクノロジーソリューション事業、プラットフォーム&アプリケーション事業担当

コネクティドインクには、IT、文房具、出版、教育等々いろんな業界の方々に集まっていただいています。多くの方々がそれぞれの視点で興味を持ち、可能性を感じているわけですが、皆がたった一つのことで結ばれていると言えるでしょう。それは、「手書き、デジタルペン、デジタルインクを使って、まったく新しい体験・世界を創り出せるのではないか」というワクワクする熱い気持ちです。ワコムも、35年間ずっと「どうやって、クリエイターの方々の創造性をデジタルペンで助けることができるのか。どうやってこの世界を創造性に満ち溢れたものにできるのか。そのために、私たちはどういう技術を提供したらいいのか」と、考えてきました。「手書きだからこそ伝えられる気持ち」「手書きでなくては磨き上げられないアイデア」を、デジタルの力でサポートしていきたいと考えづけてきました。
デジタルステーショナリーコンソーシアムインク(DSC)のボードメンバーになっている他の会社も同じような情熱や野望をもっています。「世界中の紙を電子ペーパーに代えたい」、「生徒たちが使うタブレットを通して、最高の学びの体験を届けたい」、「日本中の家族の間で、手書きを使った新しいコミュニケーションを広めたい」、「最上質のペン、インク、紙を組み合わせて最高級の文具体験を提供したい」、「100年以上前の創業時からこだわってきた製品を、デジタルのパワーで進化させたい」等々、様々な思いを胸に集まった人たちのアイデアをスパークさせることができる場がデジタルステーショナリーコソーシアム・インク(DSC)であり、皆さんをDSCへ誘う(いざなう)のが、このコネクティドインクです。

◆山田正彦 ワコム代表取締役社長兼CEO
コネクティドインクの出発点は、「誰もが生まれながらに持っている千差万別の創造性を開花させ、世界中をクリエイティビティで満たしたい」という思いでした。ワコムは、人間が考えたものを表現するツールを作ってきた会社です。尤も、ワコムの主力製品であるペンタブレットで絵を描いたり、デザインしたりしているひとは、全人口のほんの一握りです。そのほか大多数の人たちはどうしているかというと、物事を考え、アイデアとして形にするのにペンとインクを使っています。すなわち、アイデアや創造性を伝える媒体という意味でのインクの役割は、特に重要であるといえるのです。
人間は、インクによって新しいものを作り出し、文化、文明を発展させてきました。人間の創造活動はすべてインクでスタートしました。科学、芸術、哲学、法律などすべてインクによって表現され、共有され、蓄積されて発展してきました。その意味で、インクは最もパワフルなクリエイティブツールです。にもかかわらず、アナログのインクの場合は、生み出されたときからずっと物理的に紙の上にとどまって、多くの人たちと共有して自由に使えるようにはなっていません。そこにイノベーションのカギがあります。人間の創造性を支えてきたインクにデジタルのパワーを加えることで、その役割を飛躍的に進化させることができます。
近い将来、世界中のすべての人たちがデジタルインクを使えるようになるでしょう。その時のために、デジタルインクの標準化を進めることの重要性が高まるとともに、このイベントもビジョンを語る段階から、具体的なものを生み出す段階へ移行してきました。これをさらに皆さんと共に推し進めていきたいと思います。

◆ファイク・カラオグル ワコムEVP クリエイティブビジネスユニット担当
DSCとコネクティドインクには、いくつかのカギとなる取り組みがあります。一つ目は「インカソン」で、デジタルインクとデジタルペンに焦点を当てたハッカソン(アプリ開発コンテスト)です。二つ目は、「ワコムイノベーションハブ」で、アプリ開発業者をサポートしてアプリの開発を促進するものです。三つめは「マーケットプレイス」で、開発されたデジタルインク用ソフトの市場投入をサポートするオンラインストアです。そしてデジタルステーショナリーコソーシアム・インク(DSC)とコネクティドインクは、開発業者やスタートアップをはじめとしたパートナー各社をデジタル文具のエコシステムへ誘い、さらにほかの多くのエコシステムとつながりあって発展していくためのプラットフォームになるものです。こうした取り組みを通して、私たちはパートナー各社との協力のもとデジタル文具市場の開拓を行っていきたいと考えています。

◆ハイディ・ワン ワコムVP プロダクトマネジメント及び事業開発担当
ワコムの提唱しているデジタルインクの技術であるWILL™ (Wacom Ink Layer Language)を活用いただき、すでにいくつかのユースケースが出てきました。まず、デジタルペンとインクをつかった「オーグメンテッド・ノートテイキング」では、デジタルとアナログのノートが融合して、より豊かで効率的な利用が可能となりました。次に「デジタル教育」の分野では、教師側も生徒側もよりインタラクティブ(高い双方向性)で密度の高い学習環境が実現できるようになってきました。「ワークフロー」の領域においても、デジタルサインによってセキュリティを高め、工数と紙を節約し、生体データを利用することも夢ではなくなってきました。VR/AR(仮想現実/拡張現実)でも、インクを仮想空間でオブジェクトとして扱うことが可能になってきました。さらにWILLを容易に使っていただくため、ハードウェアとの連携をサポートするWILL SDK for Devices、デジタルインクデータを扱いやすくするWILL SDK for ink、デジタルサイン認証のためのWILL SDK for signatureとB2Bワークフローに対応するためのWILL SDK for documentsを用意し、皆様の様々なご要望にお応えする準備を整えました。

◆続いて、ワコム テクノロジーソリューション事業部の掛晃幸が、NTTドコモプロダクト部の津田 浩孝氏、富士通コネクテッドテクノロジーズマーケティング・営業本部の今村誠氏とともに登壇して、富士通製「arrows Tab F-02K」に関する3社共同の取り組みついてご紹介しました。
(掛)従来、ワコムはペン部品を富士通にOEMし、富士通が製品に仕上げ、NTTドコモがサービスと合わせて提供していましたが、今回ご紹介するト「arrows Tab F-02K」からは、ワコムがペンに加えて、ペンを使ったアプリとサービスの一部を提供し、インクのエコシステムを作り上げて製品の付加価値を上げると同時に、3社のシナジーをより強固なものにすることができました。まず、製品開発意図について、今村様と津田様にお話願います。
(今村氏)今までのタブレットは「見るための道具」でしたが、「arrows Tab F-02K」では、もう一歩進んで新しい使い方を提供したいと考えました。そんな折、「紙に書く」という人間のごく自然な行為に着目し、「一般のお客様にもデジタルで描くことの楽しさを味わっていただけるようなタブレット製品を出したい」という思いから、ワコムと協力して徹底的に書き味にこだわった製品に仕上げました。ぜひ多くのお客様にお使いいただきたいと思います。
(津田氏)「コミュニケーション」というと、現状ではエンターテインメントの領域が中心ではありますが、これからは「距離と空間を超えた対話」も提供できると考えております。例えばWILLを使って、「離れて暮らす孫の描いている絵がリアルタイムで目の前のタブレットに届く様子を、デジタルインクの絵で眺めつつ、その成長に喜び談笑する」というような体験も可能になるでしょう。ドコモではまた、AI エージェントにも取り組んでいます。「arrows Tab F-02K」にはマイクが装着されていますので、このエージェントを利用するのに適しています。一方で、紙の手帳というのも人間のエージェントとの役目も担ってきたわけで、「arrows Tab F-02K」ではその役割も合わせて取り込めると考えました。様々な発明が、このデジタルインクのエコシステムの生まれてくることを期待しています。

続いてワコムから、東京とブルガリアのソフィアをリアルタイムでつなぎ、電話で話しながら、同じ画面上にデジタルインクで書き込んでチャートを作成する「インクコラボレーション」のデモが行われました。また、ドコモ、富士通、ワコムの3社共同で行うインクアプリの開発コンテスト「インカソン with docomo & Fujitsu」についても紹介されました。

◆井出信孝(再登壇)
デジタルペンが、「誰でも、どこでも、いつでも使える」という世界が少しずつ現実へ近づいてきました。ワコムでは、デジタルペンに必要な要素のすべてを小さなカートリッジに詰め込み、文房具メーカーが、万年筆、ボールペン、シャーペンや鉛筆など様々なものをデジタル化お手伝いをします。次に、デジタルの世界で最高の「紙とペンの関係」を提供して、ワコムのペンがワコム以外のペンセンサーを搭載した機器でも作動するようにするUPF (Universal Pen Framework)を進めています。そして、ペンIDを利用すると、例えば機器へアクセスするためのキーとして、ある時は指定の色のインクペンにするなど、様々活用の可能性が考えられます。このような特徴をパートナーごとに適した形で生かし、マイクロソフト、グーグル、Eインク、reMarkable(リマーカブル)、テラダミュージックスコア、サムスン、富士通、OKAY(中国)、モンブラン、ステッドラーなどと共同で製品を送り出してきました。多くの会社がデジタルペンとインクの可能性について目覚めてきています。

◆長司 重明氏 コクヨ株式会社 事業開発センター ネットソリューション事業部長
日本には、まだ紙を残しておく文化が残っています。一方で「デジタル」で伝えることの重要性が高まっています。そこでコクヨでは「紙」と「デジタル」のハイブリッド運用を可能にしました。ある介護の現場では、これによって、従来8分かかっていた記録作業を2分に短縮できました。現場では、やはりデジタル機器を使うより紙に書く方が作業性も優れ、紙に書いたメモをすぐにデジタルに変換して保存できることはメリットが大きいというフィードバックがありました。この領域では、ワコムとのコラボレーションも進め、多様な働き方に合わせた、誰でも使える電子文具を提供していきます。

◆山田正彦 (デジタルステーショナリーコソーシアム・インク会長として再登壇)
当初、ワコムの夢は、「キーボードマウス要らない世界」でした。これが、ペンタブレットによって、漸く実現したと言えるでしょう。今度はこのアプローチを文具の世界へ展開し、多くの方々に新しい文具の体験を享受していただく仕組みとして、昨年9月にデジタルステーショナリーコンソーシアム・インク(DSC)を設立しました。それ以来、デジタルインクをデジタル文具のプラットフォームとして促進し、クラウドに対応してオープンエコシステムに不可欠なものとすること、そのフォーマットとしてWILL™を広く活用いただくことを主な活動として行ってきました。組織面では、ワコムに加えてサムスン、モンブラン、富士通、Eインクが加盟し、プロモーターとしてドイツのAI研究所やスタートアップ企業も参加しています。ワーキンググループの活動も本格化させ、デジタル文具市場の可能性について解説した白書をまとめました。様々な取り組みを通して、ここにいる皆さんと共にデジタル文具市場を開拓していきたいと思います。

一連のスピーチの後には、ネットワーキングディナーが行われ、各社の製品・技術展示を見ながら、夢のある議論が交わされました。

終了